商標ベロタクシー 「VELOTAXI」に見る商標出願の難しさ 【知財おもうがままに】

観光自転車
スカイツリーの周りで観光自転車が目立つようになった。
観光自転車では「ベロタクシー」が有名ということだ。 
(この写真のものは、ベロタクシーという表示をしているわけではなく、別の会社の類似例)
これには、色々な規制をクリアしたり、採算を工夫したりと、ビジネスモデルとしての工夫が相当あると思います。

VELOTAXIという商標登録を調べると、意外な一面を知ることができます。


velotaxi

 【国際登録番号】 788319
【国際登録日又は事後指定日】
平成14年(2002)9月5日
【先願権発生日】 平成14年(2002)9月5日
【指定通知日】 平成14年(2002)10月24日

【国又は機関】 DE(ドイツ連邦共和国)

【氏名又は名称】 Velotaxi GmbH Berlin Gesellschaft fr Vermarktung  Entwicklung
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】 12
Bicycles and tricycles with closed passenger cabs. 

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務(訳)】
12 屋根付きの乗客用座席付き自転車及び三輪車 


最初に始めたドイツの会社が国際登録をしているので、なるほど世界で名前を押さえたのだと理解できます。
ところが、日本でも他の商標区分について同じ言葉(称呼)で登録されいるのです。

velotaxi[5]
【商標登録番号】 第4806668号
【登録日】 平成16年(2004)10月1日
【登録公報発行日】
平成16年(2004)11月2日
【公開日】 平成15年(2003)10月30日
【出願番号】 商標出願2003-86128
【区分数】 3
【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
35 広告,特に客席を備えた二~四輪の人力駆動車に描かれた企業経営の広告
39 車両による輸送,特に二~四輪の人力駆動車のタクシーによる旅行者の案内・輸送
41 娯楽の提供,客室を備えた二~四輪の人力駆動車乗車体験のための娯楽施設の提供,客室を備えた二~四輪の人力駆動車乗車体験に関するイベントの企画・運営又は開催

この日本出願は、ドイツ企業から日本国内での許可を得ているものと思われ、上の商品区分12だけでは不十分と判断して行われたものと考えられます。
 人力駆動車による広告も、人力駆動車タクシーも、人力駆動車乗車体験も必須でしょう。
 ベロタクシージャパン www.velotaxi.jp

ここで思ったことは、
(1)ドイツの会社は日本の商標を押さえたと考えた。
(2)ところが、自転車そのものと、自転車を使ったサービスとでは分類が異なっていた。
(3)したがって、当所の出願だけでは有効な範囲を権利化することに失敗した。 

(4)しかし日本での提携会社が国内の実情に基づいて別分類を押さえた

ということです。
 もし、日本での「VEROTAXI」での他分類登録が行われなかった場合、商標名に顕著性がなければ、他者に登録される恐れがあったわけです。
このように、当所から適正な商標を押さえることは、非常に難しいということを教えてくれます。
なぜなら、商標の分類があまりにも細分化され最適な範囲を押さえることがきわめて難しいからです。
商標が新サービスに使われる場合、既存の分類には属さない今までになかった商品や役務(サービス)の分類を的確に抑えなければならないわけですから。
今までに無いサービスは、今回のように複数の分類(区分)にまたがる可能性が高いということです。
分類に関しては国際的な調整がされているようですが、簡単ではないようです。

日本へ商標出願する際にも相当な注意を払わなくてはならない商標出願です。
まして中国や韓国へ出願するとなると、制度はもちろんのこと実質的な商品区分を十分に精査し、広すぎるくらいの区分を最初から出願する必要があるかと思われます。
それには、現地での商標の状況を熟知した協力者が不可欠であるということを思い知らされます。
なお日本での商標出願は、弁理士でなければ代理できません。

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