知財ニュース 2007 (ちざいニュース)
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H19(ワ)12863
H19.08.26


商号使用差止等請求. 株式会社エーザイが、有限会社エーザイの使用するエーザイ商号、ドメインのE-zai.comの使用差止抹消請求.

被告の行為は原告のものと誤認混同し、不正の利益を得ようとする目的があると認定。商号抹消を認めたが、ドメインに関しては、名義人が被告ではないとして認めず。
不競2.1.1

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070927112330.pdf

特許権
H18.12.27 東京地裁

H17(ワ)12576

化学薬品、職務発明の対価算出について、特許出願する前の<ノウハウとして秘匿していた期間についても算出すべき>とした。

理由:出願するかしないかは、使用者の裁量にあり、その間も事実上利益を独占できる。

「これによると、出願せず完全にノウハウとした場合にも対価請求する例がでると思われる。」

著作権法
H18.12.21 東京地裁

H18(ワ)5007

ノンフィクション本に登場人物(故人)のスナップ写真を、無断で掲載したとして、遺族が出版差し止め請求 

以下を認定した。
・スナップ写真に対する著作物性
・ネガを持つ原告の著作権
・著作権者の確認作業を行ってない過失
・使用料相当額の損害1点あたり2万または2万5千円の70%
・写真掲載を承諾しなかっと推定できる合理的理由があり、スナップ写真の一部を使用したので、公表権、同一性保持権侵害による慰謝料10万
・写真掲載部分に関しての印刷、頒布差止め、廃棄

「家族等を普通に写したスナップ写真は、子供が書いた稚拙な絵と同様に、思想または感情を創作的に表現したものとして、著作権が認められています。」

種苗法
H18.12.21 知財高裁
H18(ネ)10059

エリンギの品種登録(育成権)の侵害で提訴したが、被告は先育成による通常利用権を有するなどと主張

韓国において公知であるので、登録要件を欠き、無効事由を有するので、育成権による損害賠償は権利の濫用として認めなかった。

種苗法による権利ですが、この判断は特許法の規定と良く似ています。
著作権法
H18.11.10 大阪高裁
H18(ネ)2014


判決が裁判所判例検索システムに載っていないので、詳細不明ですが、

控訴人(原告)が作成した神戸の地下鉄路線図には、駅の記号と番号が記載されている。

これを神戸市が使ったため侵害差止め訴訟を提起したもよう。

しかし、番号を付すことはアイデアとして独創性があるものの、表現はありふれているものであり、著作権の対象とならないとした。

アイデアは、特許出願していなければ保護されないのが現状です。

不正競争防止法
H18.03.30 東京地裁
H16(ワ)25297


ADSL技術等を買収前提に調査した会社が、買収しなかったにもかかわらず、その親会社が短期間に同種の電話回線サービスを開始したことは、秘密漏洩があり不正競争にあたると主張

一部の営業情報に関して、営業秘密の要件を備えるが、公知の技術を使用しており、秘密の漏洩(不正開示)は認められないとした。

調査した会社の取締役が親会社と共通しており、立場の強い者が有利な契約をした感は否めません。 原告としては忸怩(じくじ)たる思いであるが、証拠が弱かったということでしょう。

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