知財ニュース 2004 (ちざいニュース)
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H14-04-15
H13(ワ)22066
著作権侵害差止等請求
認容

掲示板での<匿名発言にも著作権を認める>.ホテル情報サイト.ホテルジャンキーズ.http://www.hotel-junkies.co.jp 掲示板での発言をホテルジャーナリストがH13年6月に光文社から出版した「世界極上ホテル術」の中で投稿者に無断で掲載
.投稿者11人が本の出版差止と約250万円の賠償を求めた.被告は投稿は単なる感想で創作性は乏しく.また原告が投稿者であると立証できないとしていたが.判決では「原告の投稿は著作権法による保護の対象となる思想または感情を創作的に表現したものである」と認定.また「投稿者が原告でないという証拠はない」と村瀬氏の主張を退け.著作権料として114万円の支払いを命じた.

2ch掲示板の投稿でも、無断で使うことはできないですね。
かといって、許諾を取ることも難しいです。
掲示板の管理者は、あらかじめ「著作権を運営者に許諾します」といったチェック項目を作る必要がありそうです。
有名な電車男の出版に際しては、相当工夫しているようです。
 2ちゃんねるで学ぶ著作権  (株)アスキー が参考になります。
新聞記事
朝日新聞2004.06.05

青色LEDで巨額の対価を元従業員に支払うように一審で命ぜられた日亜化学工業が、今後<新発明を特許出願をせず社内の秘密にする>方針
青色LED 特許第2628404(特許公開平成4-164895

特許制度を否定する動きとして、注目されます。
現在の制度の不備を暗に指摘しています。

このように新発明を特許出願せず自社の秘密にすることは、以前からありました。 特に製法の発明は、侵害を特定することが難しいので、社内秘密(ノウハウ)として公開しないことも有効です。

このノウハウを盗んで使用した場合には、不正競争防止法で保護されます。
最高裁知的財産判決速報 
H16年3月


著作権侵害差止請求 被告はYahoo!ニュースのリンク見出しを電光ニュースの形で定期的に提供..Yahooに ニュース元を提供する
 原告はニュースの見出しには記事が理解できるよう創意工夫がなされ ニュースとして完結しているので著作物性が認められると実際の例をあげて主張した.  
 被告はニュース見出しは10字から25字の短いものであり.事実の伝達にすぎない雑報及び時事報道にすぎないので創作性は認められないと主張. 
 裁判所は被告の主張を認め<見出しには創作性が無く著作物とは認められない>とした. リンクによって利用する行為も.不正に自らの利益を図ったり.損害を加えたりする目的で無い限り自由であるとした.

被告ニュースリンク  判決
最高裁知的財産判決速報

 H15年11月JASRACに180万円支払い命令.小林亜星さんが訴えていた.「記念樹」が「どこまでもゆこう」の著作権を侵害しているという判決が出たにもかかわらずJASRACは漫然と記念樹の利用を許可していたと認定

「自ら管理し著作物の利用者に利用を許諾する音楽著作物が他人の著作権を侵害することのないように.<万全の注意を尽くす義務がある>」にもかかわらず.最高裁の決定が出たときに結論を出すとして.格別の措置を執らなかったと認定

管理するということには結構重い責任が伴うようです。
最高裁知的財産判決速報 H14年8月

発明の共同出願者として願書に記載されている者が職務発明の対価を求めたが.<真の発明者とは認定されず>.棄却

薬を細粒状にする技術に関する特許である. 原告は有用な情報を提供したが、結果的に請求範囲には反映されておらず発明者と認定されなかった。
被告側は、そもそも利益は無いとも主張していたが、この点は判断されなかった。 

発明者の認定にあたっては、出願に至る経過が重要です。
最高裁知的財産判決速報
 H15年8月

特許審査請求に対する審判による<補正命令は.権利義務を直接形成し.あるいは範囲を確定するものではない>ので.行政不服審査法に基づく不服の対象となる「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為」に該当するものとは言えない

何度も拒絶され、更には補正の書類が方式不備であるとされたため、少し感情的になったのでしょうか。 たとえ補正命令が違法であると認められても、特許性そのものには影響しないでしょうから、結局拒絶されます。正攻法で行かないと意味ないでしょうね。
最高裁知的財産判決速報
 H15年1月侵害訴訟.貸しビデオ用ケース.請求範囲に記載された「上面を開閉可能に構成」には.「蓋は無いが開閉可能である構造」は含まれるか→解決課題.手段.作用.効果を参酌すると<蓋体等の開閉手段を備えることが必須>である→よって技術的範囲に属さず侵害を構成しない

明細書の書き方を少し変えれば侵害の主張が通ったかもしれません。
侵害品をあらかじめどれだけ想定できるかが鍵ですね。 出願前に十分に調査をすると、さまざまな変形例が見つかるので、必然的に強力な請求範囲を記載することができます。
ケース
最高裁知的財産判決速報 
H15年11月

登録取消審決取消訴訟.棄却.登録商標「兀ウオーター」と記載されたシールを.豆腐容器に貼付したことは.商品である豆腐について特定の出所を認識させるものではなく.「兀ウオーター」という特別の水を使って作られたものと消費者に受け取られるとするのが相当. 豆腐について<登録商標を使用していたとの証明にはならない>

不使用によって取り消された審決の取り消しを求めたものですが、豆腐そのものの商標とは認められないと認定されたものです。 確かに豆腐にウォーターは無理があるかもしれません。
最高裁知的財産判決速報 
H15年11月

意匠権拒絶査定審決取消訴訟.棄却.フライパンに対するエンボス加工の凹凸は.それ自体は<格別の特徴を有さない>から意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものである.
フライパンの表面加工に特徴があっても、全体的に見ると従来の形状と変わらないから意匠権を与えることはできないというものです。
購入者が見て明らかに他と違うと一見してわかれば権利になりそうですが、エンボス加工(表面の凹凸)ではよほど近くで見ないとわからないでしょうね。
最高裁知的財産判決速報 
H15年7月

著作権に基づく差止等請求.「2002年版大手マンション管理会社ベストランキング」
取材に協力し.また発行部数が少ない (35部) から.著作権侵害の程度は重大ではないが.<被害の程度態様が軽微であるからといって.直ちに違法性が阻却されるわけではない>.

著作権侵害はたとえ1部でも侵害だということですね。結構怖い法律です。
最高裁知的財産判決速報
 H15年8月

サントリー角瓶の立体商標は.ウイスキー瓶の <立体的形状そのものとして自他商品識別機能を有するには至っていない>
 .また表面ラベルの平面標章部分を含む全体的構成の中において.立体的形状の識別力は相対的に小さい.

立体形状だけでも識別力があれば(一般にその形だけで製品名が出てくるような良く知られた形状)商標登録することができます。 たとえばコーラの瓶は有名です。 判決では角瓶にはまだそれほどの識別力が無いとしました。 確かに角瓶と言えば髭のおじさんのラベルを思い浮かべてしまいます。
2003-10-16読売夕刊

がんばれ!ニッポン使えない.東京高裁判決.ドクター中松氏の登録商標「がんばれ日本」をJOCが不使用取消審判請求し登録を取り消されていたが.中松さんが違法として訴えていた. 高裁は事業と関連した会報に使用されており.<使用実態があり有効>と指摘した。
継続して3年以上使わない商標は取り消しを請求することができる(商標法第50条)ので、取り消しを請求したのでしょうが、実際には使っているので取り消せないという判決となったものです。
最高裁知的財産権判決速報

登録商標[QUEEN」は.登録商標「QUEEN'S DIAMOND」と類似しないとした無効不成立審決を東京高裁支持. 「QUEEN'S DIAMOND」は<普通に使用>されている組み合わせ語であり一連に発音されるので.QUEENのみの語を生ずることはない
最高裁知的財産権判決速報

登録商標「ふぐの子」は登録商標「子ふぐ」と類似しないとした無効不成立審決を取り消し. フ.グ.コの<語順を入れ替えただけ>であり.観念.称呼において類似し無効であると東京高裁判断.4.1.10..4.1.11..4.1.15
最高裁知的財産権判決速報

「騒音のしない側溝」.明細書の訂正が要旨誤認で認められなかったとした訴えを認め.<訂正を認める>判決.
最高裁知的財産権判決速報

商標願「LEONARD KAMHOUT」は<他人の氏名>であり.本人の同意が撤回されたので4.1.8条に該当し登録できない. レナード・カムホート
最高裁知的財産権判決速報

商標願「TODS COMPETITION」と登録「COMPETITION」とは.外観・観念で相違するが称呼で類似するので登録できないとした審決を取り消す判決..「TODSの<知名度を考慮>すれば.トッズを切り離してコンペティションの称呼が独立して生ずるとは考えられない」とした 4.1.11
最高裁知的財産権判決速報

商標「PAPIA」の使用許諾は.期限等の<合意.契約>に係わる覚え書き等の記載が無く.無期限無制限とした判決を支持
最高裁知的財産権判決速報

医学院の授業内容を元に作成した<マニュアルは.単なる事実の伝達ではなく思想または感情を創作的に表現したもの>として.創作性を有する..カイロプラティックスの知識.
最高裁知的財産権判決速報

専用実施権の抹消登録手続を命ずる.東京地裁. 原告特許権者は仮差押債権者らに対する保全措置として担保権を設定したものであり.<通謀虚偽表示>とみなし無効.
最高裁知的財産権判決速報

侵害差止訴訟.「花粉のど飴」は.「花粉」(登録商標)に類似すると.東京地裁判断.花粉症対策用として<一般的に使用>されているとまでは認められない.
最高裁知的財産権判決速報

商標無効不成立審判取消. ジジはJUJUに類似しない.類否判断において登録がなされた当時と50年経った現在とでは.<取引の実状が大きく変化>している.近年は簡易に文字等の視覚情報による取引が可能となっており.称呼の締める要素が低くなっている.化粧品の消費者は総じて高い識別能力を持っており.ジジとJUJUは非類似の商標と言える.
最高裁知的財産権判決速報

請求期間を徒過した審判請求. 行政不服審査法では期間等を<教示しなければならない旨の規定>があるが.特許法195.4では行政不服審査法による申立てができない旨規定されている.また施行規則35条では審判の請求期間は記載すべき事項にない..従って請求期間や.その延長期間が記載されなくても査定に瑕疵は無ない.
最高裁知的財産権判決速報

本件パテントプールは<独禁法に違反しない>.特許法等の技術保護制度の趣旨を逸脱し.一定製品分野または技術市場に於ける競争を実質的に制限するものではない.

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