書き込んだ単語から、パソコンまで特定されてしまうということは、ネットを使用した調査のために使った単語は、やすやすと漏れて利用される可能性もまた高い。
実際、本ホームページへ、どのような検索語を伝って訪れたかを、サーバーの解析メニューから知ることができる。
かつてネットの黎明期(れいめいき)に、IBM社のサイトで特許調査が出来ると話題になったことがある。
その後、このサイトで調査を行うと、IBM社へ新規技術のヒントを垂れ流すものであるという認識が生じ、多くの企業では、そのサイトの使用を禁止したという。
だから、単語だけで技術が特定されてしまうような検索式を使用して、直接IPDLなどで検索することは、危険だ。
たとえば、最近テレビで宣伝(CM)されているエアコン製品は、人が居ないときや、寝ているときに消す(弱める)機能を売り物にしている。
これなど、聞いてしまえばだれでも着想したような技術だ。
つまり、エアコンに付ける付加価値技術のヒントを探している人が、「 人、動かない、消える」などという検索語に触れれば、フラッシュの光のように、あっというまに脳裏に具体的なアイデアが浮かぶだろう。
検索している者は、結果の分析に夢中になると、自分の頭にあるアイデアをなんとかして言葉にして、タイプしようと考えるあまり、それが他人に見られるなどとは思い至らないものだ。
しかし、検索後は貴重な情報だ。
もし、IPDLで、各技術分野において、「検索語順位」なるものを公開したら、おそるべき新技術の金脈、宝庫となるだろう。
そこにはシーズ(種)、ニーズ(要求)、ソリューション(解法)が、まるで商店街の福引き特賞一万円札つかみ取り状態(比喩)で山積みされていることだろう。
IPDLから直接漏れる危険性はないとしても、暗号化(SSL等、ブラウザの右下に現れる鍵のアイコン)されていないため、途中経路で漏れるおそれがある。
ではどうすべきか。
(1)検索に言葉を使わない。 IPC(特許分類)を特定して、分類だけで調べる。
(2)単語(言葉)を使った検索では、IPDLで外郭を十分に調べ、単語数後に絞り込んだ上で、パトリスなどの商業データベースを使えば良い。
これらは長い歴史を持ち漏洩問題に対し対策を採っているからだ。
(3)それでもネットにつながっている限り怖いというのであれば、スタンドアロン型(閉鎖型でネットに接続しない)のデータベースを使うことになるだろう。
つまり、IPDLに相当する情報を個別のパソコンに入れてしまえば良い。
(要するにネットに一切接続しないデータベースで検索するということだ。 大企業はそうしている。)
それは難しい(お金がかかる。)ことだが、本事務所においても平成5年からの索引情報(出願人、IPCなどの分類、請求項、要約の文字など)で15年にわたる特許情報を、単独のパソコンのみにより調査できる。
これで見つけた公報だけを、ネットで参照すれば、漏洩などの問題は無いと言えよう。
また、特許庁のイントラネットによる端末(公報閲覧室)を使うこともできる。
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