知財ニュース 2008 (ちざいニュース)
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H19(ネ)2557大阪高..H17(ワ)330和歌山地

H20.09.17..


店舗で開催されたジャズ歌手の出演する会は、無料のプライベートなものであり、「公の演奏」にあたらないとして、著作権料は不要と主張した。

→調査員が、「支払い忘れた、金を払う」と電話したところ、「来店して支払ってほしい」とし、実際に2000円を支払うと「ライブパーティー(貸し切り)」という領収書が交付された。

→無料であったとの証拠は採用できないとした。

著作権法 .22..38.1

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080925090747.pdf

H19(ネ)735.大阪高. H17(ワ)10324大阪地

H20.09.17


店舗におけるピアノ演奏

店舗主催のライブ演奏については演奏権侵害であるが、第三者主催のライブ演奏、かつ貸し切り営業では、店は関与せず、使用料、演奏料を受領、支払いしないので利益を得ておらず、演奏権侵害はない。

著作権法 22条

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080925090310.pdf
H18(ワ)8248大阪地

H20.08.28


ツインカートリッジ型浄水器.侵害差止請求. →棄却

開発費を負担するなど、共同で特許化を行った。 

→合意を解約をする際に、開発委託契約が終了したとしても、共同出願条項は当然には失効しない。 

→その後原告は単独で出願し、特許を得たので特38条に違反し、無効とされるべきものなので、特104条の3により権利行使できない。

特許法38..123.1.2..104の3

特許3723749

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080829124642.pdf
H19(ワ)35028.東京地

H20.09.30


「東急」は東急グループの営業表示として著名であるが、「TOKYU」、「tokyu」の語は特定の意味内容を有さない。

外観、観念で異なるので類似するものと受け取る恐れは認められない。

不正競争防止法 2.1.1..2.1.2..2.1.3

東京急行電鉄
藤久建設

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081001110947.pdf
H19(ワ)7660.大阪地

H20.10.02



「招福巻」侵害差止.

原告: 「十二単の招福巻」は、「招福巻」に類似し、商標権を侵害すると主張。

被告の主張: 「招福巻」は商標として登録されるものではないとして、無効を主張

裁判所の判断 →
「招福巻」は、節分用巻きずしの普通名称でも、効能を普通に用いられる方法での表示でも、慣用商標でもなく、無効の主張は理由がない。
使用料相当額(売上げ金額の5%=314825円)、代理人費用20万円を認容

商標法 36..38.3..26.1. 一部認容

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081003115544.pdf

2010年1月23日 大阪高裁により逆転判決→ 巻き寿ずしの名称として一般化しており、社会的にも特定業者の商標とは認識されていない。→普通名称化している。
H20(ネ)10031.知財高.H17(ワ)16218

H20.09.30.H20.01.31


法務局内における民事法務協会が設置したコピー機で、土地法典を複製させているが、コピー代金は著作権料ではなく、コピー機の使用対価である。

またコピー機の設置費用を得ているが、国有財産(建物の一部)の占有対価の性質を持つ。これは民法703条所定の「利益」には当たらない。

著作権法21..民法703.

H18(ワ)16899.東京地

H20.07.04


博士の絵柄を使った広告。
鼻の形、帽子のかぶり方、ネクタイの有無、髭の色、等、デザインの相違があり、酷似しているとは言いがたい。 

きわめてありふれた表現であり、両者はアイデアあるいは表現上の創作性の無い部分が同一であるにすぎず、著作権を侵害しない。

著作権法21.. 民法709

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080711092033.pdf

 
原告絵柄               被告絵柄
20(行コ)10001

H20.08.26


国際予備審査の再審査がされないことを、行政事件訴訟法37の2「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があると訴えた→

国際予備審査は、予備的なかつ拘束力のない見解を示すものにすぎず、再審査も「処分」にあたらない。 法的効果も無いので、重大な損害を生ずるおそれはない。

特許協力条約 33(1). 行政事件訴訟法 3.6.1, 37の2

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080827101904.pdf
H20(行ケ)10156.知財高

H20.08.04


商標登録願 「ばんばん」は登録商標「BANGBANG」と類似するので拒絶した審決を取り消し。 →審決時には引用商標が存続期間満了により消滅していた。

商標法 4.1.11

登録272262

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080805094651.pdf
H19(ワ)33577

H20.06.25


職務著作であり、著作権及び著作者人格権が帰属する。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080626172747.pdf

H20(行ケ)10143.
知財高

H20.09.17


商標登録取消決定取消請求事件 →棄却

登録商標、インナートリップ霊友會インターナショナルは、異議申立て人の名称を含むものであり、承諾が無いので取り消し。

商標の使用によって人格的利益を侵害するおそれがあるときにのみ、4.1.8に該当するとの主張するが、適用の条件では無い。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081031161048.pdf
H19(行ケ)10387

H20.07.30


商標登録拒絶.本願商標「オレンジチェリー」はオレンジ色のさくらんぼを想起するので、指定商品、果実でサクランボ以外の食用ほおずきに使用した場合、需要者取引者に品質の誤認を生じさせる。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080731105147.pdf
H20(行ウ)82

H20.06.27


却下処分取消請求.優先権主張をせず、「同日」に補正を行ったが、法は「同時に」を規定しており、同一日ではない。→適法な優先権主張とは言えない。

意匠法60の3.棄却

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080627163338.pdf
H19(ワ)5765

H20.06.20


被告がベースステーションをインターネット回線に接続したり、アンテナ端子を接続したりしても、所有者は各利用者であり、その行為は原告の送信可能化権を侵害するものではない。

すなわち,利用者がベースステーションにおいて放送波の受信を行うための物理的な設備の単なる提供にすぎない。),「公に伝達する」行為(送信行為)とはいえないものであるから,被告による本件サービスの提供を公衆送信行為に該当しない。

日本放送協会

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080623111341.pdf
H19(ワ)31919

H20.06.11


書籍の複製権、翻案権、同一性保持権のいずれにもあたらない。
占いの本。
同一性はアイデア部分であり、表現それ自体でない。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080617124232.pdf
H20(ワ)4

H20.05.23


被告からの請負に付帯して作成された原告の図面、技術資料は契約によると被告に帰属する旨の規定がある。

作成費用を支払わなければ被告に帰属しないとの規定は認められない。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080526103017.pdf
H19(行ケ)10369

H20.06.24


双方向歯科治療ネットワーク。 人の精神活動が含まれているというだけで発明にあたらないとした審決を取り消し。

発明の本質は精神活動を支援する、またはこれに置き換わる技術手段を提供するものである場合は排除すべきでない。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080625101726.pdf

特許法.2.1..29.1取消
H9(ワ)20986 東京地.

H20.7.4

損害賠償請求. ピンクレディーの写真.(パブリシティー権.民法715条) 女性自身が取材した当時に撮影.→最近のダイエット振り付け記事に使用. 承諾は取っていない。 → 写真は3ページ全体の31%に及んでいる。したがってグラビア写真としての利用と同視できる→ピンクレディーの顧客吸引力を利用したもの→

 (反論)タイトルは楽曲の著作物の一つ。振り付けは振付師による創作.. ピンクレディーは実演家にすぎない。写真は白黒の小さなもの。グラビアなどとは全く異なる利用態様.
当時のピンクレディーを懐かしんでもらうためのものであり、過去の芸能事象や人物評伝を扱うジャンルの芸能記事と基本的に変わらない。 このような場合パブリシティー権は働かない。 

判断→ 専ら利用を目的としたものではない。 棄却

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080711110045.pdf

著作権
H20(ネ)10009. H20.07.17.


原告は、刑事訴訟事件の傍聴の結果をまとめた傍聴記をインターネットのブログで公開。被告は別のヤフーであり、傍聴記を無断で掲載したブログを公開。 原告は著作権侵害を主張し、ヤフーをプロバイタ責任制限法に基づき、ブロフ発信者の情報開示と、ブログ記事の削除を求めた。→判決で傍聴記は「著作物」に当たらないとした。 原告は創意工夫して、検察官と証人の答えとを独自の観点で分類、構成して要約文を作成したとしたが、「事実の伝達にすぎない」として創作性が認められないとした。
全文(裁判所へのリンク)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080718104623.pdf

H19(ワ)14155大阪地
H20.05.29
パテント2008.6

「時効の管理」という表現は、著作物と言えない
全文(裁判所へのリンク)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080529171810.pdf

過去になかった独創的な題号だと主張→法律用語に管理という言葉を加えただけであり、ありふれた表現→思想または感情を創作的に表現したとはいえない。

短い表現で、著作権を争う例が意外にありますが、そもそも著作物とされないといえます。
権利にしようと思えば、商標登録すべきです。
H19(行ケ)10215
H20.05.29
審決取消

コカコーラのリターナブル瓶の形状.
商品の包装を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるので、自他商品の識別機能を有するに至っていないとした審決を取り消し.昭和32年から販売され長年の販売と宣伝によりコカコーラの立体的形状が需要者において他者商品とを区別する指標として識別されていると認定.

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080529172621.pdf

特許庁としては、立体的形状は商標としてではなく、意匠として登録してほいようです。
特に商標登録しなくても良いように思いますが。(不競法で保護されるため)
CNET JAPAN

著作権問題の回避へ、ニコニコ動画がBGMを500曲提供.ユーザーが投稿動画内で引用できる公式楽曲を500曲用意し8/19公開. 米Pump Audio(独立系ミュージシャンの音楽が商用メディアで利用されることを目指す)から提供を受ける.


民間でもできる範囲で、著作権に対応しようという努力が感じられます。
H18(ワ)26738
H20.04.18

損害賠償請求.原告はネットワーク研修に使う社内用の教材を原告の発意で作成し、原告会社の名義の下に公表したので、職務著作ではあり、原告に著作権、著作者人格権がある。
被告はこれを複製し、異なる書名とし原告の名称を表示していないので、同一性保持権と氏名表示権を侵害した。
 別の被告は、この教本を発売したが、著作権を侵害したことを知りながら販売したと認めることは出来ず、113条.1.2により侵害行為と見なせないので、不法行為を構成しない。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080424132542.pdf

知らずに行為した人には違法性を問いませんでした。

H19 年11 月22 日
H19 年(行ケ)10127
審決取消請求事件

「新しいタイプの居酒屋」。記述的.特定の出所を表示したものとは観念されない。主たる表示たる白木屋、笑笑を説明ないし修飾する意味合いで使用されているにすぎず、それ自体に独自性は無い.

「新しいタイプの居酒屋」という言葉で、商標登録出願をしたのですが、さすがに拒絶されてしまいました。
それでも、これを使い続けて、どこのお店かとわかるようになれば、商標として登録されるようになります。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071126101126.pdf
毎日新聞08.02.20

「弁護士のくず」は自分の書いた小説の蚕食弁護士というエピソードと28カ所の類似点があるとして著作権侵害提訴
訴えられた漫画家の井浦秀夫さんと小学館は、実際の事件であり、参考にしても著作権侵害には当たらないとしている。 掲載したビッグコミックオリジナル3.5号は20日に発売された。


事実の部分であれば、類似するのはあたりまえですので、いくら参考にしたとしても、著作権上は問題ないといえます。
H19(行ケ)10217
H19.12.26

スキャンティー.登録取消成立。 3年以内に使われていたことが証明できない。新しいパンティーとして広く知られ、女性用のパンティーのうち生地の薄くタイトなものを意味する一般名称となっていたと認められる.


せっかく取った商標権でも、漫然と使われて一般名詞になってしまうと、商標としての使用と認められず、取り消されてしまうという例です。

全文(裁判所へのリンク)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080108151055.pdf

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