IPWO 矢澤知財行政書士事務所
知的財産と技術にこだわりを持つ行政書士です。
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規制と知的財産 (自転車から考える)
夏
休みが始まったが、このところ自転車が気になることが多い。
良い意味でなく、困った問題としてだ。
ゆっくりと考え事をしながら歩いていると、後ろから音もなく猛スピードで抜かれ、後(あと)から身の危険がわき上がる。
後ろからだけでなく、正面からの自転車も動向がわからず怖い。
若い者が走らせている場合は、速度があるが回避も早そう。
年寄りなどは、こちらが倒してしまって怪我をさせるような余計な心配もある。
とにかく、歩いているときに自転車と遭遇すると、邪魔な存在でしかない。
やっかいなことに、自転車に乗ると、今度は歩行者が邪魔でたまらない。
結局の所、歩行者と自転車とは同じ道路(舗道)を共有できないといったところだろう。
しかし、現実には歩道上で、自転車による歩行者の事故が増え続け、ついに道交法の改正となったことはつい先日のことである。
(警察庁 自転車の安全利用の推進 http://www.npa.go.jp/bicycle/)
ここで面白いのは、規則で決めたことには、渋々ながらも従うのが善良な市民であるのだが。
反対意見が多く出て、警察が検討する事態になった。
それは、ママさんが自転車で送り迎えしている子供を、これからどうしたら良いのだと言うものだ。
ただでさえ子育てが大変な世の中、さらにお母さんと子供を規制して、困ったを通り越して怒りになっても無理は無いだろう。
「ベビカムリサーチ VOL.29 「自転車3人乗り」への規制徹底?!賛成?反対?
http://www.babycome.ne.jp/online/research/vol_29.html」
警察庁は、3人が安全に乗れると判断した自転車であれば、親子3人乗りを認めようという対処を発表した。
自転車製造関連会社は、警察のお墨付き(公認)をもらおうと開発に余念がないかもしれない。
「ランドウォーカー株式会社で開発中の「3人乗り用自転車“かるがも”
http://www.kawamura-cycle.co.jp/karugamoinfo.html
」
こうした規制や障害があるたびに、実は技術開発が促進され、新たな製品が世に出ることが多いように思う。
つまり、規制や障害があったほうがそれを乗り越えた際の報酬(喜び)が大きいということだ。
古い話になるが、米国で排ガス規制のマスキー法が出たときには、そんな低公害エンジンを製造できるはずがないという大方の意見の中、日本のホンダ自動車
(本田技研工業)
が一番に規制値を達成するエンジンを開発し、以後、技術開発競争が大いに盛り上がった。
「
日本機械学会「機械遺産」ホンダCVCCエンジン
http://www.jsme.or.jp/kikaiisan/data/no_006.html」
規制(-マイナス政策)は、それを達成する過程において、特許(+プラス政策)と同じようなインセンティブ(報酬、奨励政策)になるということだ。
競争を促進させるという名のもとに、あらゆる規制を無く(規制緩和)してきた昨今、刺激(報酬)も少なくなって、業界の活力はかえって弱くなってきたようにも思える。
つまり底なしの合理化を要求され、ゴールの見えない徒競走に参加させられ、疲れ切っているという構図だ。
知的財産権にかかる制度自体が、創作者以外に対する規制策という見方もでき、これはつまり、法という名の規制を上手に使って、国民を刺激しているようなものだ。
規制のほかに、障害も同様の刺激(創造性発露に対する)になるだろう。
このところの異様な原油の値上がりがそれだ。
温暖化の原因とされる二酸化炭素削減課題もある。
もっともCO2問題は、障害というより、可能性に対する予防策なので、規制に近いかもしれない。
いずれにせよ、この大きな障害が、知財においては、また大きな刺激(好機会)となる。
今まで幾多の開発が途上で断念された新エネルギー技術なども、採算性を満たすことになれば、日の目をみるだろう。
二酸化炭素自体を減らす(使う)技術も大いに促進されるだろう。
それで、新技術が開発され、今の障害は人類の未来にとって、必要な試練だったということになろう。
いや、そんな大きなことを考えなくても、自転車の問題をどうしようかと考えるほうが、幸せ感を満たすには早道かもしれない。
今ふっと、思いついたのだが、事故防止のために、都心を走る自転車に速度規制をしてはどうかと思った。
もちろん、罰則で規制するのではなく、機械的に一定の速度を越えたときにブレーキがかかるような仕組みだ。
構造は、いろいろ考えられるぞ。
まだ秘密にしよう。
2008.07.22
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