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 回転寿司に特許 (かいてんずしにとっきょ)
 
 2006-11-27(月)
  回転寿司に特許

日、夕刊のテレビ覧を見ていたら、回転寿司の広告が大きくでており、ここに特許番号が記載されていることに気づいた。(朝日と読売との両方に宣伝があったが、番号は一方の新聞のみに記載されていた)

 回転寿司に特許とはなんだろう、ちょっと想像してみる。
特殊なロボットを取り入れて、提供するのだろうか。
おいしく見える照明だろうか。

 広告を読むと、どうも一定時間取られずに回っていた皿を自動的にコンベアから除去するシステムのようだ。
新聞の写真がおいしそうだったので、散歩がてら店に寄ってみた。

 開店から日が経っていないのか、店の作りが綺麗で平日にもかかわらず並んでいる。
最初にタッチパネルで人数を入れると番号札が出され、待合室で番号の呼出しを待つことになる。
まるで役所や銀行のようである。

 ここで通路の壁に、特許証が掲示されていることに気づいた。

 普通の人は特許証などを見る機会がないので、気づかないかもしれない。
 よく見ると複写(カラーコピー)だ。
 (特許証だけでなく、他の許可証と一緒に掲示されている。)
入り口の通路壁に、他の許可証と一緒に特許証が掲示されている。
 特許を取得したことで優位性を強調したいのだろう。
 はたして特許証が、集客にどれほどの効果を果たすのかは不明だ。
 
 利用客にとっての関心は、特許云々(うんぬん)より、まずは旨いか、安いか、安心かというところだろう。
これらの関心事項に効果があるのであれば、大々的に宣伝すればよいだろう。
 このお店(チェーン店の経営者)は、工夫好きのようであり知的財産権の重要さを認識していると思う。
色々な部分に特許性を感じる。

 例えば、皿の裏にはQRコードが付されている。これで皿の個別認識番号を規定しているのだろう。
また、皿を入れる溝が各席にあって、空の皿を投入すると、皿の枚数が表示される。 さらに5枚投入の度に、くじの抽選が行われる。 当たりが出れば何かをもらえるようだ。

 表示装置をタッチして注文が行え、注文したネタが近づくと警報で促す。
回転しているネタにパフェなど溶けやすいものがあるときは、専用保冷容器に入っている。等々

 IPDL(特許電子図書館)の公報テキスト検索で、発明の名称に「回転寿司」と入れて検索すると、25件の特許(公開分)を見ることができる。
 特許の分類 A47GまたはA47Fあたりで調べれば、相当数が出願されていることがわかるだろう。
 技術的には、回転寿司に限定されるわけではなく、食品提供とか、運搬といった種々な分類で分けられている。

 また、これで調べた特許の発明者や権利者で検索してみると、あの回転寿司チェーン店もたくさん特許を取得しているといったことを発見する。
 
 来店客が、回転する皿の上のネタに注目している裏では、回転寿司特許競争が展開されているのだ。

 昔自分も回転寿司でアイデアを思いついたことかあった、それはコンベアにゲートを設けて、反射率の悪いネタに純水を吹きかけるというものだ。 (乾燥防止)

 このようにみんながあちこちで特許などを考えれば、知財の重要さが認識されるだろう。その意味で、特許証の表示は、とても面白い事例だと思う。

 これから回転寿司の特許を開発するとすれば、何だろう。 各席で注文したネタの配達システムだろうか。

 いやいや、その開発や手間を寿司ネタにつかった方が、お客様には喜ばれるかもしれない。


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