知財おもうがままにロゴ

 商標の話題が多いこのごろ

的財産に関するニュースでは、著作権に関するものが多いが、新聞紙上では商標がらみの話題も良く目に付く。

 権利発生に登録不要の著作権とは異なり、商標は特許庁に出願し、審査官による審査を得た後に権利化される。

 商標は、特許などとは異なり、創造性を要求されるものではなく、基本的に言葉の選択であり、早い者勝ちである、しかし、その影響は企業活動に大きくかかわる。

 例えば、今年になって松下電器は商標をパナソニックに統一することにした。

 これは長年の企業活動で、ナショナルの商標が国内では著名になっていたものの、米国へ輸出しようとすると、既にあるNATIONALを含む商標と混同(まぎらわしい)するため使用できず、PANASONICとして輸出向けに使用していた商標である。

 超有名な巨大企業でも商標の選択は、業務に大きく影響する重要な戦略となるわけだ。


 小さな所では、東京墨田区にできる新東京タワーの名称を決める際に、人気のあった「大江戸タワー」の名称が既に商標として登録されていため、候補から外すというニュースがあった。

 もっともこれは、和菓子の最中(もなか)に使用する商標なので、それほど気にすることはないとも思う。 しかし一部を利することになると、公平性に欠けると判断したのでしょう。

 意外に身近なところでも影響していることがわかる。

(注: 「新東京タワー」は、仮称であり、正式名は「東京スカイツリー」に決定しています。)
 一度名前(商標)を決めると、消費者は名前と共に品質を記憶するので、商標が会社(製品)を代表する大事な言葉となる。

 その権利は10年間有効(商標法第十九条)であり、以後更新登録の申請(商標法第二十条)をすることで理論上無期限に独占することができる。
 
 ただし、商標が有名になると、別の面で心配ごとが増える。

 それは、あまりにも有名になると、商標が商品を示す語として、普通に使われてしまうことだ。

 最初は商品名として選択した造語であっても、皆が使用することで一つの日本語になってしまうという心配だ。
 
 例えば、「ホチキス」、「ゼロックス」といった言葉を聞いたときに、すぐに紙留め用具、複写機のことを思い浮かべてしまい、ついには言葉が動詞的に使われ、紙を綴じることをホチキスする、複写することをゼロックスするいといった使い方をしていないだろうか。

 テレビ、特にNHK(日本放送協会)では、商標を言わないばかりか、登場する商品には目隠しをしており、商標を使わない(出さない)ようにしていることが良くわかる。

 なぜ、使わないのかと言えば、それが一企業の宣伝になってしまうからということであるが、そのほかに、商標が普通に使われて、日本語になってしまうと、再登録できなくなるという問題があるのだ。

 もっとも他の製品と識別ができれば登録されるなど、商標制度は色々な面白い性質を持つ。

 過去にコーヒー飲料で「ジョージア」という商標登録出願をした企業は、米国の地名であるので登録できないと拒絶されたが、何度も出願し、大々的な宣伝活動を行って、ジョージアと言えばコーヒーとまで認識させて? ついには登録された。

 国際的には、本来登録できない日本の地名でも、中国などで、商標登録されてしまい、日本からの農産物などを輸出する際に支障がでている。(台湾で「さぬき」が登録、中国で「鹿児島」が公告され、異議を申し立てた。発明2008 No.5)
 
 これに対し、日本国として、日本の地名は登録しないよう申し入れるようだ。

 また、地名に限られず、日本の製品名が中国や韓国で、商標登録されていまうという問題も依然として存在する。

  これは、この商標を登録しますという公告期間中に、異議を申し立てないことが大きい。

 一度成立した権利を無効にするには多大な労力と金を要することになる。


  それで、中国にどういう出願がされ、公告されているかを、調べる方法を、特許庁が指南している。
 
 特許庁:中国商標局のデータベース(中国商標網)の商標検索マニュアル

 また中国や台湾などで登録された場合の異議申し立て等の支援策が進行している。
 特許庁:海外における地名等の商標出願・登録問題について

 これは官庁としてはとても柔軟な対応であるように思える。

 自分の会社の製品が出願されていないかどうかを調べれば、輸出する際に差止を受ける心配がなくなります。

 もっとも、輸出する際には、輸出国の商標を取得することが最も安全と言えます。

 日本では今月に商標の出願、登録料が大幅(43%)に値下げされました。

 これは現行制度が始まった1997年以来初の下げとなるとのことです。

 今まで値上げがあたりまえになっていた登録料等の値下げは、知的財産有効活用のチャンス(好機会)です。

 しかも、その手続は登録に至るまでインターネット上で完結します。

 この際おおいに利用しましょう。

 2008.06.24

 中国商標の参考になるWEBサイト: 中国知財専科 http://www.ondatechno.com/Chinese/index.html


 注:商標登録の出願代理、有償相談は弁理士でなければできません。
 「NATIONAL」は、松下電器産業株式会社の登録商標 第626000号等です。
 「PANASONIC」は、松下電器産業株式会社の登録商標 第619509号等です。
 「ジョージア」は、米国ザ・コカコーラ・カンパニーの登録商標 第2055753号です。

All Rights Reserved, Copyright © Yazawa Kiyoshi 2008