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 パブリシティー権  ( 意見広告を見て )

ブリシティー権で意見広告

 2007-01-11日の新聞を見て気になった方もあるかと思う。
 一面を使っての意見広告で、 「私たちは本気です」というものだ。
2006.01.11読売新聞
2007.01.11読売新聞
有名な芸能人が多数、おそらくは自筆と思われる署名をしている。
 しかし一体何を訴えているのかよくわからない。

 結局の所は、判例で権利と認められている「パブリシティー権」を、 裁判を経なくても権利として認められるように、法制化してほしいということのようだ。
 法制化ということは、その権利を使って行動を止めさせたり、金銭を請求できる根拠となる条文を作ってほしいということだ。

 このような広告をこの時期に出すということは、
 文化庁あたりで法案ができているのかもしれない。

パブリシティー権とはなんだろう。

本HPの用語集では「パブリシティ権 publicity  一般に広く知られた顔など経済的価値を持つ肖像を管理する権利、 法令に明文化されていないが、有名人の写真等は、判例上権利の対象となっている。」と説明している。

 写真を例に取ると、
 ある人を勝手に撮す(うつす)場合、それは特に何の法的拘束も無い、せいぜいモラル(社会人としての礼儀)の問題だろう。


 ではこの写真を本やネットで公表すると、それはプライバシー(個人として干渉されない権利.(注1)や肖像権(注2)の侵害だろう。
 つまり、一般に他人の写真を撮って、それを個人的に鑑賞して楽しむのは良いが、本にし出したら、撮された人は、肖像権をたてに出版差止請求ができるとされる。
 どうしても出さなければならないときは、承諾を取るか、あるいは目や顔を修正する等して、個人が識別できないようにするだろう。
 (朝日記事)2005.09.25
肖像権侵害


 では、一般の人ではなく、芸能人等の有名人だったときはどうだろう。
 この場合には公人として、肖像権は及ばないとされる場合も考えられる。
 つまり、日常的に顔をテレビなどで公にした結果、有名になったのだから、いまさら拒否できないということだ。 (プライバシーまでなくなったとは思えないが。)
 すなわち、芸能人の仕事中(営業中)を撮影した場合には、野に咲く綺麗な花や、山や、鳥を撮したことと変わらないような状況と言えるかもしれない。
 撮した者には、写真の著作権が生じ、これらの写真を自由に譲渡、販売できることになる。
 だからコンサートなどでは、しつこいくらいに写真を禁止するアナウンスをしているのではないだろうか。 あるいは禁止する権利が無いことを知って、フラッシュは迷惑なのでだめだが、撮影そのものは禁止と言わないかもしれない。

 撮す方としてみれば、好きなファンの写真がほしいだけであり、写される方としてもファンが喜んでもらえればと、特に問題も無いはずであるが、しかしこれが商業利用されるとさまざまな利権がからむ。
 
 芸能人のショーを写真で撮り、それを販売するのはどうか。
 オークションでアイドルの生写真を出品すれば、高値で買う者がいるかもしれない。

 芸能誌に投稿すれば売れるかもしれない。

 アイドル歌手が有名になるためには、芸能プロダクションが、多大な経費と時間を使って戦略的に活動した結果である。
 タレントを有名にしたのは、芸能プロダクションであるといえるので、育てたタレントの肖像には金銭的価値がある。
 したがって勝手に使用するのはけしからんということだ。

 つまり、芸能プロダクションと言われる会社にパブリシティ権があるわけだ。

 無形ではあるが、価値がある。 
 まさに知的財産権だ。

 パブリシティー権は、一つの法律として独立したものになるかもしれない。
 他の知的財産権とは性質が異なるからだ。

 肖像権、パブリシティー権ともに定義があいまいであり、権利意識が極端に強くなっているところもあるように思える。
 それで馬の名前などにもパブリシティー権を主張することになる。

 時代の流れととともに新たな財産権が生まれ、それを保護する法律ができる。
 パブリシティー権(肖像使用権)などができれば、新たな不自由感を強いられる気がするが、各種権利が、人権と切り離せないものであり、人権が尊重されることを肯定するならば、不自由も甘んじなければならないだろう。 (2007、02、11)



プライバシー 注:1
他人の侵害から保護される私生活や私事。他人から隔離されて,一人でそっとしてお
いてもらいたいという生活上の利益が,→人格権の一つであるプライバシーの権利
として法的保護の対象とされる。私生活・私事が公開されないことがその主たる内容
をなす。その侵害によって金銭的損害は受けなくとも,被った精神的損害に対して賠
償等を請求できる。この侵害は名誉毀損(きそん)とは区別される。憲法13条の
→幸福追求権に基礎づけられ,判例上も認められている。→ マイペディア電子版より。

注:2 肖像権 しょうぞうけん
人が自己の肖像(写真,絵画など)をみだりに他人にとられたり使用されたりしない
権利。→人格権の一種。肖像権を違法に侵害されたときは,妨害排除または損害賠
償を求めることができるとされている。 マイペディア電子版より。

参考:
JAPRPO Japan Publicity Rights Protection Organization NPO法人、肖像パブリシティ権擁護監視機構


 

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