IPWO 矢澤知財行政書士事務所
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新技術に対する、効果の評価は難しい。
石
油価格の異様な値上がりを阻止する、救世主と言えるような新エネルギー技術がいくつか出てきている。
意外に、世間(マスコミ)ではあまり話題になっていないように思う。
「水で動く車。」 http://www.genepax.co.jp/development/development.html
(2009.2 ホームページ閉鎖の告知)
「常温で核融合が確認された。」
http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page284.htm
どちらもノーベル賞級の新技術だと思うのだが、昔から旨すぎる話には、眉に唾をつけて疑うのが人の特性である。
少し前にテレビの健康に関する番組で、捏造したデータを効能の裏付けとしていたことがわかった。
これでマスコミは大いに信用を落としたことがあり、以後絶対に虚偽を伝えてはならないという姿勢が強くなっているのかもしれない。
実際に夢の新技術を道具とした出資詐欺も、過去にはあったので、にわかに信じられないとしたことを一概に臆病とすることもできない。
「夢の発電機」と詐欺 超電導詐欺に懲役2年8月 朝日新聞1987年10月30日
"ノー・エネ発電機"と業者から2千万円詐欺 自称「元教授」 朝日新聞1987年2月19日
もっとも真実ではあっても、実用にはほど遠いという場合も多々あるので、話題にするほどでは無いという判断もあるだろう。
斬進な新技術は、先に海外から注目されて、後から日本で認められるということがあるので、今回も真実(本物)であればそういう経緯をたどるのだろう。
新技術を簡単に信じないという姿勢は、特許庁の審査官にも要求される。
特許を付与(特許権を与える)すれば、一審査官の判断とはいえ、国が認めたことになり、対外的な信用を増す。
それどころか、一事業を興したり、逆に潰したりする結果を生ずることもある。
では、ある技術が、なにをもって真実あるいは実用性があると判断するのだろう。
多くは、実験で確かめたというところだろう。
つまり「百聞は一見に如(し)かず」だ。
有名な例では、多数並行させた電極間に高電圧を付加するだけで、空気流を生じるエアクリーナー(空気清浄機)の特許があった。
このときは審査官が拒絶とする中、現物を特許庁に持ち込んで、実際に作動させて納得させたという。
この席では、空気が確かに動いた(吸い取られた)として回りから拍手が上がったという。
しかし特許に精通した人ならば、特許になったかどうかのみをもって技術の善し悪しを判断したりはしないだろう。
「ついに特許を取得しました。」といったキャッチフレーズを聞いたことがあるのではないだろうか。
いかにも高度な新技術を開発したかのように聞こえるが、実際には従来技術にわずかな変化を加えたものである場合が多いのだ。
つまり、明細書の書き方や、データの添附で、審査官になるほどと思わせれば、「他に拒絶の理由が無い」とされて、登録となることもあるのだ。
そうして多数の特許等が書面だけで、効果があると判断され、権利が付与される。
権利は期限が来れば消滅するので、その後は誰が製品化しても良い。
それで何万台も売ってから効果が無いとされて、公正取引委員会から排除勧告が出たことがある。(2007年11月20日)
それは超音波で蚊を追い払うという「蚊よけ機」だ。
血を吸うメスの蚊は、雄の出す羽音(音波)を嫌うというのだ。
いかにももっともらしい理論なのだが、効果が無いのだという。
これはメーカー自身が、顕著な効果の立証が無いとする趣旨のお詫びの公告をしている。
http://www.ohm-electric.co.jp/showcase/news11/kayokeki.html
それでも製品として作られ、販売され評判は良かったという。
調べてみたら、実用新案公告 昭和50-43490という公報があった。
考案の名称は、「携帯用超音波蚊撃退器」というものであり、「虫除け機」の権利だ。
これは審査がされており、引用文献には応用昆虫学 第3版.朝倉書店.P183.とあるので、それなりの効果を認定したものと思われる。
先のエアクリーナのように審査官が効果を疑ったものの、文献を提示されて、そのデータをあえて信じられないと、更に反論する必要を感じなかったのだろう。
データと言えば、新薬などはデータ(臨床試験)の固まり(多数の書類)を提出して認可を得ているのではないだろうか。
それなのに、毎年、効果が認められないとして薬剤の認可が取り消されている。
そのくらい効果を証明するということは難しいのだろう。
一例:
脳循環代謝改善薬の承認取消 http://www.med.or.jp/nichinews/n100605b.html
効果を感ずる手段が、人(人間)の主観でしか無い場合には、更に認定が難しい。
磁石を使用した血行促進器具などは、効果を感ずる者もあるのだろうといった程度にしか判断できないのではないだろうか。
それでとりあえず拒絶しないというところではないだろうか。
要するに特許等の有無で、技術の善し悪しは判断できないということだ。
特許等の権利を取得する最大の目的は、あくまで自分が販売する商品が、他人の特許権等を侵害していないことを確認できることであろう。
つまり貴方の技術を堂々と販売してよろしいですよ、という国からの証を得られるということだ。
新技術が、特許等になっていないとしたら、これを販売する場合には他人の権利を侵害する危険があるということだ。
だから、技術が本物であろうがなかろうが、商売とするならば特許等の出願はしておくべきだろう。
ところで、冒頭の新技術だが、
「水で動く車」は、技術はともかく、発電容量、耐久性(寿命)で実用性が今ひとつ、、
「常温で核融合が確認された。」に関しては、まだまだ緒端で、評価ができないというところだろう。
新たな技術には、良い注目をしています。
それが日本発なら、なお嬉しいでしょう。
2008.08.17
参考:超音波蚊除けは効果が無いと主張していたブログ
http://mostop.exblog.jp/7519314/
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