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 公正取引委員会がすごい (不当表示をめぐり)
 

 日立関連会社の社長が頭を下げた。

 世界最高品質の冷蔵庫。
 
 エコ(地球環境保全)を謳(うた)い、リサイクル材を使用しているという説明が、名目通りではなかったという。

 せっかくもらった省エネ大賞を辞退するという。


朝日新聞記事
朝日新聞2009.04.21


 コンプライアンス(法令遵守)が重視され、下手に弁解などすれば命取りだという姿勢が企業側にあるのだろう、先の謝罪会見を受けて、実は我が社の製品も材料が異なりましたなどという新聞への広告記事を、あわてるように出している会社もある。

 今年だけでも新聞紙上に何社も公正取引委員会の排除命令が出ている。 


朝日新聞記事
朝日新聞2009.03.10

携帯電話の受信性能が上がるという製品に根拠なしとして排除命令

 
排除命令に至らず、警告の場合もある。
朝日新聞
朝日新聞2009.06.03

合格者の8割以上が使用という英検教本の宣伝に、根拠が無いとして警告。
 

 公正取引委員会のホームページを覗(のぞ)くと、その実績(実態)を見ることができる。(報道発表

 談合など独占禁止法での排除命令も多いが、不正競争防止法がらみもかなりある。

良くこまごまと指摘できるものだと思っていたが、なんと情報提供のフォーム(景品表示法違反についての報告の受付)まであって、一般の人からの情報を取り入れているのだと知った。

 この書類の提出代行、作成代理は行政書士の仕事になるなどと思って興味深く見る。

 いわば平成の製品目安箱(めやすばこ)だ。

 「最高です」などという商品の性能表示は、特許や商標など工業所有権(知的財産)にも密接にかかわる項目だ。

 電化製品を見て見ると、いろいろな安全規格、工業、食品、品質。 JIS、JAS、ISO、CEなどなどが付されており、それぞれに関連法があり、虚偽表示など出来ない。

 そのような嘘は許さぬという姿勢が、今日では商品のパンフレットの記載にまで及んできたということだ。


 排除命令の根拠は、景品表示法(独占禁止法の特例法)ということだ。

 本サイトの知財六法にも入れており、知的財産関連法ということができる。

 排除命令(排除措置命令)は、どのような内容なのか。
 

 実例で見ると、冷凍食品「ずわいがにコロッケ」に、ベニズワイガニを使用していたことによる命令では、以下が記されている。

 (1)事実の公示をしなさい。 (2)再発防止措置をとりなさい。 (3)表示をやめなさい。 (4)措置を文書で報告しなさい。

これに従わないとどうなるのだろうか。

独占禁止法90条1項3号により、2年以下の懲役、または300万円以下の罰金となる。

 もっとも、排除命令書が出る前には、合理的な根拠を示す資料の提出、弁明(公聴会)の機会があり、命令に対しては不服申し立てもできる。

朝日新聞記事
朝日新聞2009.06.16
 

 しかし、拒めば罰則をともなう立ち入り検査や、公正取引委員会とは別に、都道府県による検査も行われるため、相当な負担を強いられることになる。

まずは、違反(不当表示)しないことが第一でしょう。

基準がわかりにくい点もあるため、景品表示法のパンフレットは必読です。

 「不当景品類及び不当表示防止法ガイドブック だから安心景品表示法」
  http://www.jftc.go.jp/keihyo/keihyopamph.pdf → keihyopamph.pdf
  
□景品表示法は新設の消費者庁(http://www.caa.go.jp/)に移管されました。(平成21年9月1日)
 報道発表  景品表示法に関するQ&A 所管法律



 不当表示(不適切な表示)に対しては、他の省でも処分を行っています。

経産省(経済産業省)が雑誌の開運グッズ宣伝を、誇大広告として特定商取引法(特定商取引に関する法律)により業務停止処分
読売新聞記事
読売新聞2009.05.09


農林水産省がハチミツの含有量虚偽表示に対し、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)で改善命令
朝日新聞記事
朝日新聞2009.05.21


 広告等で表示する際は、様々な規制を考慮しなければなりませんね。

 2009.06.26

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