2006年 5月26日(金)
いつものようにパソコンでインターネットのニュースなどを見ていたところ.
マウスの下に液体がこぼれていることを発見した.
透明なので、水をこぼしたのだろうと思いティッシュでふき取った。
しかしふき取ったはずの液体が、またこぼれている.
これはおかしいと、マウスの裏を確認したところ、ここに多量の液体がついている.
この液体はなんだ。 吸い取りも悪いし指に付くと痒くなるし、と、ここで合点した.
液漏れだ.
このマウスは光学式無線マウスで、単三電池を二つ使っているのだ.
意外に保ちが良いので、数ヶ月前に入れていたものだ.
取り出してみると、案の定一つの電池から液漏れがあり、緑青が発生しかかっている.
|
電池を交換しても、内部に入り込んだ液体が相当あるので、
結局マウスを分解して水洗いをした.
このとき手についた液を洗うと、皮膚がぬるぬるする.
ちょうど石鹸のようだ。
アルカリ電池のアルカリ性を実感する
|
残りの電池には異常が無いのでそのまま使うことにしたが、銘柄を見ると東芝とある.
昔は液漏れも良くあって、電池に「液漏れ補償」なるものが記されていたことを思いだし、
よく見てみた、が、そういう表示は無い.
連絡先が記されていたので、品質管理の参考用に東芝に送付しようかと、
ゴミ箱に捨てた電池を拾いなおして驚いた.
液漏れした電池にはアルカリ電池と記されているだけで、
どこにもTOSHIBAという文字が見あたらないのだ.
ええ? ○○株式会社 OEMか?
ここでやっと理解した。 メーカーが違うのだ。 液漏れは東芝製ではなかった.
挿入されていた二本の電池の外観が良く似ていたので、同じものだと思いこんでいたのだ.
見ているようで意外に見ていない外観ということだ.
液漏れ品は、どこかの量販店などで購入したものか、何かの機器に付いていたものだろう.
入手経路は不明だ.
|
左から、今回液漏れした乾電池、
一緒に使っていた東芝製、(東芝電池(株))
参考用 松下製、(松下電器産業(株)、松下電池工業(株))
参考用 富士フィルム製(富士フィルムイメージング(株)) |
ここで感じたのは、 知財に関心を持っている自分でも間違えるほど、電池の外観が類似した商品が多々あるということだ.
そしてこういう時に機能すべき商標法、意匠法など知的財産権制度の限界だ.
この様なデザインの電池が過去に無ければ、知的財産権制度によって類似品は排除され、流通されなかったと思う.
しかしある商品が売れると、それを他のメーカーも真似して作る.
もちろん知的財産権侵害にあたらないよう、類似の範囲から外してデザインするだろう.
そうやって法に触れない範囲の少しずつデザインが異なる類似品が出回る.
金色と黒を使った電池は「金パナ」パナソニックの製品だという認識があった、がこれが東芝とは.
いつのまにか、どのメーカーも同じ様なデザインを取るようになった結果、デザインによって類似品を排除させる機能を期待できなったということだ.
そうなると電池を買うときには、全体のデザインではなく、メーカー名を見なくてはならず、しかも類似のメーカーかどうかまで考えなくてはならなくなってしまう.
電池の液漏れなどされれば、 デジカメなど複雑高価な機械は、簡単に使用不能(廃棄物)になってしまう.
ケチるつもりはなく、信頼性の高い製品を買ったつもりで選んだデザインが、別物とは.
電池にも名前を付けて、商標を前面に出す戦略もあるようだが、それが浸透するには長期間を要する.
現在の電池の選択は、どうしてもデザインに頼るのではないだろうか.
こんなに似た製品が出てしまうのは、類似の範囲について法的審査にあたる立場の人が、いわゆる専門バカになっていて、些細な違いを違いとして認識しすぎているからではないか.
その結果、似たデザインを別会社にそれぞれ登録させているからではないかと思ってしまう.
訴訟になって、判断が裁判所に移っても、経緯や現状を尊重して、類似でないと判断しているのではないか.
デザインの類似性の判断に専門性は不要なのではないかとさえ思える.
裁判員制度のように、類似かどうかを一般の人に判断してもらう制度が必要かもと考えてしまう.
しかし制度の問題以上に、各メーカー自身が、安易にデザインの真似をしないという認識を持つことが重要ではないかと思う.
金パナの金と黒のデザインを、東芝も使っていたのでは、どのメーカーが使っても文句は出ないことになる.
ぜひメーカーならではのデザインを確立し、類似品の出ない強い権利を得て、消費者はデザインだけで安心して電池を買えるようになることを望みます.
(ネットを検索すると、現在はそういう方向にあるように見える.
マクセルが復刻のデザインを出す、東芝がギガエナジーという名で電池を出す等)
尚、この書き込みは、特定のメーカー製の電池に対し、液漏れの危険性が高いということを主張するものではなく、デザインに対する一考察を述べるにすぎません。(どのメーカーの電池でも液漏れはあるようです。 高価な機器では、使用しないときには電池を抜いておくことが良いと思います。 )
参考:
デザインの権利には以下のようなものがあります。 IPDL(特許電子図書館)で検索したものです。
電池の意匠登録
第1059289号、1167078(東芝)、 1254397、1196144(松下)、 1247329、1076703(日立マクセル)
電池の商標登録
第3322790号(松下) 4339426(立体商標)(松下)
その他:
電池のコレクションをしているサイトがありました。 電池のデザインの変遷が良くわかります。
http://www.protom.org/battery/
|
|