家庭用品修理例:アームライトのスイッチ不良 |
アームライトのスイッチを操作してランプを点灯させていたときに、少し暗くなったなと思っていたら、焦げ臭くなったので、すぐにオフ(切)にする。 スイッチの上に、わずかな煙。 臭いは、電器製品の内部が燃えたときの独特のもの。 いわゆるフェノール(クレゾール)臭。 内部で何かが燃えたようだ。 スイッチの動きは硬く、切れが悪い。 アームライトは、Z型ライト、Zライト(山田照明(株)の登録商標第858597号)などとも呼ばれ、相当に普及していると思う。 このライトは、10年以上前に購入したものだが、愛着がある。 寒い日には手を温めたり、目が疲れたときは、顔(眼)に当てて温熱で疲れを取ったこともある。 何度かの引っ越しでも捨てずに使ってきたものだ。 消えかかった型番シールにはスワン電器のAS-730とある。 |
このメーカーの最新と思われるアームライトは、机に置けるコンパクトで、LED光源を使った美しいものだ。 レディックエグザーム LEDデスクライト ベースタイプ |
直せなかったら、新しくしようと思いながら分解する。 |
不具合箇所がわかった。 ON/OFF(オン・オフ、切・断)のための回転スイッチの電極。 これが、ぐらぐらになっているのだ。 軸の一部が変形(欠けて)してしまっている。 これで接触不良を起こして、熱を持ったのだろう。 それで周囲のプラスティック(フェノール樹脂だろう)が燃えたのだ。 |
プラリペアで修復する。 プラリペア(造形補修剤、登録商標)は、大きなホームセンターや、画材店で入手できる。 欠けを埋めるには最適だ。 アクリル樹脂なので、強度もある。 軸補修後の組み立ての際には、潤滑を兼ねて、シリコングリスを綿棒に付けて清掃する。 回転電極部金具には樹脂が付着しているので、ヤスリで磨き取る。 組み立て後のスイッチ操作もカチン・カチンと切れが良い。 修理完了だ。 |
ところが、組み立てて、ランプを付けると、2−3回は正常だったものの、すぐに焦げ臭くなる。 「なんだ?これは」 再度分解して、もう少し電極のガタを少なくする。 それでも、数回しかもたない。 もう面倒だからと、スイッチ操作をオン(on)に固定して、電球を回して消すことにする。 まるで、昭和初期のようだ。(昔はスイッチなど無く、ソケットに裸電球を直接付けていた。) ランプをLED電球 に変えて、中間スイッチを別に付けてしまう簡単な手もある。 |
しかしこんなに単純なものが、なぜ直らないのだろう。 ゲームのトリックを見破るときのように頭が働く。 そうだ、こんなにおもしろいパズルは無いではないか。 後日、思い直して再度分解。 |
回転スイッチは、回転電極部が右回り(CW、時計回り)で段を乗り越えて、電極のある段に落ちればオン、電極の無い段に落ちればオフとなる。 それ以上に、何の仕掛けも無い。 単純だ。 |
それでも、よーく見ているうちに違いを発見した。 オン電極から、オフ段に落ちるときに、わずかな隙間があるのだ。(写真の赤矢印) このときに、ピンときた。 カーボン(carbon)だ。 最初に燃えた際に、樹脂がカーボン(炭素)に変わったのだ。 テスタで計ると抵抗がある。 間違いなく導体になっている。 組み立て時のテスターでは、ON時の導通を確認したものの、OFF時の絶縁は確認していなかった。 これがわかれば、修理はできる。(パスルは解けた。) 無用な段部(カーボン化した部分)を彫刻刀で削って除去する。 これで回転電極は、オンの段から、綺麗にオフの段へ落ちる。 もうだまされまい。 ソケットを取り付ける前に、電球を入れてスイッチの動作を確認する。 今度は、普通にオン・オフする。 修理の成功だ。 新型アームライトの購入は、もう少し先になりそうだ。 (燃えが広範囲の場合には、修理困難です。 素直に買い換えましょう。) 2010.01.24 >ホーム |
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